最近、あるワークショップに参加し、音の魅力に触れる体験をしました。
(1)一枚の紙切れ(コピー用紙)を手に持ち、音を奏でてみよう。皆さんはどうしますか? 紙をゆっくり振るとサワサワとした音が聴こえます。細やかに振ってみるとガサガサとした音が―。紙を横から吹いてみるとビーと聴こえます。紙を掌で握るとグシャグシャと音が聞こえ、握り緊めると音はしなくなります。その後そっと掌を開くとサワーと静かな音が聴こえます。今度は、クシャクシャになった紙を開いて、そっとやぶってみると柔らかな持続音が生まれます。それぞれにユニークな音が生まれてきます。
(2)一枚の紙を掌(てのひら)に置き、落とさないように空中を動かしてみよう。次に、紙をお腹に当てて落とさないように動いてみよう。(落とさないように)動き出す瞬間が実に面白い。紙を動かすとき、空気の抵抗を感じるでしょう。
(3)大きなごみ袋に空気をいっぱい詰め込んで口を閉じる。大きな風船ができます。それを手で突き上げると逞しいバンッという音が聴こえます。空中に浮いたごみ袋は、(結び目を下にして)ゆったりと空中を滑降します。ゆったりとした滑降の時間は、まるでスローモーションの時間を味わうことができます。
(4)空気を詰めた大きな袋を床に置いて、上からそっと圧してみよう。適度な弾力を感じるだろうか。
(5)紙皿の真ん中に小さな穴を開け、その穴に適当な長さの太いタフロープを通します。足と手でロープを固定し、紙皿を動かしてみましょう。紙皿をゆっくり動かしたり、速く動かしたりすると、異なる勢いの音が聴こえてきます。
それぞれの音は普段何気なく聞き流している音かもしれません。いざ、その音を意識して奏でてみると実に面白い。人のかかわり(力の加減)と音の間には、実に絶妙なからみが感じられます。同時に、音が生まれる前の瞬間(静寂の時間)が欠かせないことにも気付きます。普段の生活の中にある音たち、その音の魅力に気づくことも大切な音楽体験だということを再認識した瞬間でした。 |