地球が舞台

2003年9月
フィリピン ゴミの山の学校
「パアララン・パンタオ」(思いやりの学校)ニュース

☆6月、新学期が始まりました。
(パアララン・パンタオ パヤタス)

 6月から新学期がはじまり、3歳から16歳まで85名の生徒が登録しました。
 午前中は、デイケア(3、4歳。21名。マリアフェレ先生)、レベル1(5、6歳。22名。ベイビー先生)、レベル2(7、8歳。16名。クリスティーナ先生)のクラスがあります。
 午後は、レベル3(9歳以上。10名。ベイビー先生)とレベル4(9歳以上。16名。クリスティーナ先生)のクラスがあります。(レベル3、4は能力別)


 *給食は今年1月に予算不足のために中断。その後パアララン・パンタオの分校を開校する運びとなり、諸般の事情から再開をみあわせています。ご了解下さい。


☆8月、パアララン・パンタオの分校を開校しました。
(パアララン・パンタオ エラプ)

 <開校の経緯>
 2000年7月10日、パヤタスのゴミの山が崩れて数百人の人が亡くなるという大きな事故があり、パアララン・パンタオの生徒も23名が犠牲になりました。その後、多くの人々が隣のリサール州モンタルバンの再定住地(通称エラプシティ)への移住を余儀なくされましたが、移住後、就学の機会を失ったままの子どもたちも多くいて、住民たちからは、近くにパアララン・パンタオのようなフリースクールが欲しいという希望が以前から寄せられていました。
 そこで、エラプシティにある空室(三軒長屋の一室)と隣接の空き地を買い取り(支払いはこれからです)、今年度から分校を開校することとなりました。


 <入学手続きと説明会>
 7月28日から入学手続きを開始。8月7日に説明会。約50人の親子が参加しました。

 <授業開始>
 8月11日から、クラスがはじまりました。(午前中のみ)
7:30〜 9:30 デイケア(4、5歳。32名)
9:30〜12:00 レベル1(6、7歳。27名)
のクラスがあります。
 教師は、レティ校長先生、ヨリー先生、テリー先生(アシスタント)です。

(ヨリー先生とテリー先生は、レティ先生の古くからの友人で、教師不足を補うために、それぞれの事情をやりくりしてレティ先生を助けてくれています)

*入学希望者は大変に多いのですが、教室があまりに狭いのと教師の不足のため、現在、これ以上の生徒を受け入れるのは困難な状況です。
*レベル2以上のクラスの開講についても、できるだけ早い(できれば年度内の)実現を目指しています。


分校の全景(Photo by Seiichi Ohta)

分校説明会(Photo by Seiichi Ohta)


 <今後の課題と展望>
 現在、分校には水道も電気もありません。授業がはじまると、狭い教室には熱気がこもって蒸し風呂のようになります。水道、電気の敷設、扇風機の設置が必要です。教師の給料も十分ではなく、交通費など多くの負担をかけています。新しい教師の確保とトレーニングも必要になってきます。
 分校となった建物と土地の買取り(今年中に一括払いか、または来年から5年のローン)もこれからの課題です。また、勉強したい生徒をひとりでも多く受け入れるためにも、空き地部分に教室を増築したいと考えています。
 開校したばかりの分校を、地域の子どもたちの教育の場として機能させていくためには、どうしてもある程度のまとまった資金が必要になりますが、現在、分校のための予算がほとんど準備できないという厳しい状況にあります。
 入学を待っている多くの子どもたちのためにも、なんとか軌道にのせていきたいと思いますので、ご理解・ご協力をどうかよろしくお願い申し上げます。


ボランティアでペンキ塗り(Photo by Kayo Sawaguchi)


分校の授業風景(Photo by Kayo Sawaguchi)

 8月22日、日本人とパキスタン人の学生、友人が、ペンキを購入し、分校の校舎内と外壁を薄い黄色、青、ピンクで塗りました。学校は明るくよく目立つようになったので迷わずに行けます。


☆奨学生ニュース

 今年度は2人の生徒を応援します。


マリージョイ・ロトル(17歳)
 ハイスクールを卒業し、カレッジの教員
養成コースに進学しました。


 

卒業まで応援します。よろしくお願いいたします。


エレインジョイ・レイエス(17歳)
 ハイスクール4年に進学しました。


☆進学・進級を目指しています。

 これまで多くの生徒がパアララン・パンタオで勉強したのち、出生証明などの書類を揃えて、編入試験を受け、公立小学校やハイスクールに編入していきました。
 去年から編入試験の制度が変わり、試験を受けるためにはまず、小学校の在籍証明書が必要になったということで、ずっとパアララン・パンタオで勉強してきた10代の生徒たち(写真)も、編入試験を目指して、去年または今年度から公立の小学校に通うことになりました。貧困や病気、家庭崩壊など困難な状況のなかでも、あきらめずに勉強をつづけてきた生徒たちです。
 現在(これまでの在籍年数によって)それぞれ小学校1年から3年に在籍していますが、今後試験を受けて能力に応じた学年に進級する予定で、土曜日も補講に通っています。
 毎日の交通費など小学校に通う経費については、特に事情のない限り、親が自分たちでサポートするよう励ましていく方針です。

 パアララン・パンタオのデイケアのクラスから、公立の小学校に通う子どもたちも増えています。




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