地球が舞台

2005年9月
フィリピン ゴミの山の学校
「パアララン・パンタオ」(思いやりの学校)ニュース

☆6月、新学期が始まりました。

(パヤタス校)

 92名の生徒が登録しました。
 午前中は、4,5歳児のクラス(28名)と、6,7歳児のクラス(29名)があります。
 午後は8歳から10歳のクラス(18名)と、11歳以上のクラス(17名)があります。
 ジェーン先生、レイナルド先生、ジュリアン先生、ヨリー先生が担当しています。

 (レイナルド先生とジュリアン先生はパアララン・パンタオの最初の奨学生として大学へ進学、卒業しました。)


 パヤタス校の移転の話はいまのところ進展はありません。来年以降になると思われます。学校裏の新しいゴミ捨て場は、ゴミ投棄のために掘られた大きな穴もすでに埋まり、現在ゴミは捨てられていません。



(エラプ校)

 210名の生徒が登録しました。
 午前中は4歳児のクラス(64名)と、5歳児のクラス(73名)があります。
 午後は6歳児のクラス(48名)と、7歳以上のクラス(25名)があります。
 ジン先生、クリスティーナ先生、テス先生、エルサ先生、テリー先生が担当しています。
 (ジン先生はチルドレンズ・ラブの先生。土曜のアートクラスも担当しています。)

 エラプ校の増築は、スイスのグループ(Alban Memorial Foundation)の支援で工事が始まり、現在までに1階が完成、2階もほぼ完成しました。3階部分(アクティビティースペースの予定)の工事は資金不足のため滞っています。教室が広くなって生徒数も倍増しました。エラプ校は、もともとの建物と土地のローンもまだ残っていますが、学校としてだけでなく、地域コミュニティにおいても多方面の活用が期待される施設です。増築工事の続行、完成に向けて、みなさまのご理解、ご協力をどうかよろしくお願いいたします。


☆給食もあります。

 今年度もシンガポールのグループ(Mission Youth Group from Singapore ACTS 29)が支援してくれています。パヤタス校はジュリアン先生が、エラプ校はテリー先生と生徒の親が、調理を担当しています。


エラプ校の新しい教室で(Photo by Kayo Sawaguchi)

給食!(パヤタス校で)(Photo by Chie Ohno)

☆奨学生ニュース

 今年度パアララン・パンタオは大学生8名(内2名は個人のスポンサー、1名はスイスのグループの支援)、高校生1名(スイスのグループの支援)、小学生5名に奨学金を支給します。

 パヤタス・オープンメンバーは、●印の生徒について、学費・交通費等を応援します。卒業までサポートしていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

大学生(8名)
●マリージョイ・ロトル(19歳)
NCBAカレッジ、コンピュータ教育。
3年生。

●ユージン・ロトル(21歳)
メトロマニラ・カレッジ、犯罪心理学。
2年生。

○エレインジョイ・レイエス(19歳)
フィリピン女子大学、看護学。
2年生。

○マリベル・ガレロ(22歳)
リサール大学モンタルバン校、教育学。
2年生。

○マリッサ・モロン(17歳)
パマンタサン大学モンタルバン校、
ビジネス教育。1年生。

●エルビー・テルニダ
パマンタサン大学モンタルバン校、
ビジネス教育。1年生。

●チェリー・クイタイン
パマンタサン大学モンタルバン校、
ビジネス経営学。1年生。

●リオ・V・エヴァンジェリスタ(23歳)
パマンタサン大学モンタルバン校、
ホテル経営学。1年生。


マリージョイ・ロトル(左)とユージン・ロトル(右)


エレインジョイ・レイエス(左)とマリベル・ガレロ(右)


マリッサ・モロン(左)とエルビー・テルニダ(右)


チェリー・クイタイン(左)とリオ・V・エヴァンジェリスタ(右)

○新奨学生、リオの話

 23歳のリオはやっと大学1年生になることができた。高校卒業後の経済苦により、6年間ほど働いたり、家族を手伝ったり。スカベンジャーをしていた時期も。2000年の崩落事故のとき友人を亡くし、かなりのショックを受けた。父は昔アル中だった。兄2人と姉がいるが、そんな父を嫌がって、早々に結婚し皆家を出て行ってしまった。現在父はアル中ではないが胃が悪く、思うように働くことができない。仕事はスカベンジングだ。稼いでも1日100ペソくらい。母親も足を怪我したため、あまり働いていない。リオは「兄弟は皆出て行ってしまったけれど、私は両親を手伝いたい。とにかく大学を出て、一人前の大人として家にいる権利を持ちたい」と言っていた。「卒業したらまず会社に入って、将来は自分でビジネスをしたい。」頬を高潮させながら、嬉しそうに語ってくれた。

(取材 大野千英)

  スカベンジャー=ゴミを拾う人   スカベンジング=ゴミ拾い

 
高校生

○ウィルマリー・ユライ(16歳) 4年生
パヤタス・ハイスクール3年に進級しました。


ウィルマリー・ユライ

 小学生
○ジュリーアン・ヤペ(10歳)3年
○アーシェル・マヒナイ(10歳)3年
○ロレイン・バンズエラ(13歳)4年
○チャーリン・バンズエラ(15歳)
○ジョシエル・カニエタ(15歳)4年


 チャーリン・バンズエラは来年2月の小学校卒業認定試験の受験に向けて勉強しています。


左から、ジュリーアン・ヤペ、アーシェル・マヒナイ、ロレイン・バンズエラ、チャーリン・バンズエラ、ジョシエル・カニエタ

 1年間の経費(学費・交通費等)は、大学生はひとりあたり日本円で7万円から14万円、高校生は3万円、小学生は1万円ほどです。

○マリーグレース・レイエス(16歳)の近況

 マリーグレースは、生まれつきの心臓疾患をもっていましたが、2000年3月、みなさまのご支援で心臓病の手術を受けることができました。たいへんありがとうございました。その後の彼女のケアのために支援くださったみなさまにもお礼申し上げます。術後は良好で、2年前には公立の小学校に入学しました。体力がつづかずパアララン・パンタオに戻りましたが、小学校卒業認定の試験に合格し、今年、高校生になりました。養母のレイエス先生一家のサポートで、スクールバスで通える私立の高校に通っています。病院には毎月検査に通っていますが、いまのところ再手術の予定もなく体調は安定しています。


マリーグレース・レイエス



 ☆アートクラス

 4月から毎週土曜日に、国内の教育NGOチルドレンズ・ラブ(Childrens Laboratory for Drama in Education Foundation)による演劇のワークショップがあります。(午前エラプ校、午後パヤタス校。担当はジン先生。20名ほどの生徒が参加)
 ワークショップは、様々な背景をもつ子どもたちが演劇を通して、お互いの体験を共有することが目的。10月23日にケソン市で行われる子どもの演劇の発表会への参加を目指しています。


☆スポンサーの皆様へ(レティ先生からの手紙)

 ごあいさつ申し上げます。
 パアララン・パンタオの子どもたち、先生たち、親たちを代表して、感謝の気持ちを伝えたいと思います。パヤタスの貧しい子どもたちに、無償の教育を与えるという私たちのプログラムの継続のために、みなさまから金銭的な支援を受け取りました。
 もう一度言います。本当にありがとうございます。
 私たちは、貧困に苦しんでいる多くの家族のために、みなさまが支援を続けてくださることを、今回はとりわけ、期待し祈っています。

敬意を込めて
レティシア・B・レイエス
パアララン・パンタオ(パヤタス,フィリピン) 校長
(右:レティ先生の手紙)



 パアララン・パンタオの子どもたちへの日頃からのご支援、心よりお礼申し上げます。私たちがパアララン・パンタオへの支援の活動をはじめて、今年で10年になります。その間、奨学金で大学に進学する生徒も増え、またエラプ分校も開校することができました。
 さて、今年度、生徒数の増加はエラプ校で著しく、去年より100名増えています。新しい先生の雇用、備品代の増大など、例年よりも日常的な必要経費が増しています。大学生の奨学生も増え、またエラプ校の増築に予想外の費用がかかったこともあって、学校は現在、深刻な資金難となっています。謹んで、みなさまのご協力をお願いする次第です。

パヤタス・オープンメンバー 岩崎一三

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