SANSUI(サンスイ)AU-111 \66,000(1970年頃)

 
念願のSANNSUIの真空管プリメインアンプ AU-111を手に入れましたサンスイで長い期間続いたブラックフェイスの最初の機種になるのではないかと思います 66000円?とお思いの方もおられるかもしれませんが 40年近く前の66000円は今とは違います (復刻版がAU-111G vintageとして48万円で現在販売されています)かなり高級な機種です 但し人気があったみたいで中古はオークションなどで比較的簡単に入手出来ます

パワーアンプ部の回路構成はムラード型で、6L6GC出力管とスーパーワイド出力トランスによる管球式 プリアンプ部はイコライザーの初段にのみトランジスタ(2SC402又は2SC650)を1石使用している以外は全て管球式の構成  プリメイン分離端子、ラウドネスコントロール、プレゼンス(20Hz +7.5dB、fo=125Hz)、スピーカーフェーズスイッチ、インピーダンス切換えスイッチ、センターチャンネル出力端子を搭載しています。
機種の定格
型式 プリメインアンプ
実効出力 45W+45W(8Ω)
ミュージックパワー 96W(8Ω)
周波数帯域 20Hz〜50000Hz
入力感度 Phono 1:0.06mV
Phono 2:2mV
AUX:220mV
SN比 70dB
全高調波歪率 0.8%
トーンコントロール 高域:2.5kHz/5kHz
低域:250Hz/500Hz
ダンピングファクター 15
構成 12真空管(出力管6L6GC×4)、2Tr、3Di
外形寸法 幅460×高さ175×奥行345mm
重量 24.5kg

 

今回 AU-111はオークションで入手致しました 状態は 悪く、サビ、汚れ、へこみ 電源が入らないなど悲惨な状態です まあこんな状態の物だから私にも手に入れる事が出来たと言えばそれまでなのですが(笑) 出品者からの情報では 出品準備中には 電源は入り音が出ていたそうですが 何分か経過すると 真空管の1本が真っ赤になりフューズが落ちると言うような状態 その後電源も入らなくなったそうです 真空管が真っ赤になるのはカップリングコンデンサの不良でしょう 電源が入らないのもスイッチの不良、電源部の故障で比較的 修理は容易だと判断しました 一つ心配なのは トランスの断線です このAU-111に使われているトランスは まず手に入らないでしょう このトランスの良さがこのアンプの全てだと言う記事を以前に読んだ事があります(サンスイに復刻版のAU-111Gの保守部品としてトランスのストックがあれば可能かもしれません)

 

最近ではサンスイと聞いてもあまりぱっとしないメーカーと言う印象がありますが 昔は高級オーディオメーカーで本当に憧れたものです ブラックサンスイ 本当にかっこいいです 今回入手したau-111はジャンクな品で 状態は良くありません
写真ではわかりにくいですが 電源、出力共にトランスが巨大です!!真空管はプリアンプ部分に12AX7が5本 パワーアンプ部に12BH7が2本6AQ8が1本6L6GCが4本の構成です。またフォノ部分には オプションのMCトランスが付いていました ラッキーです!!
内部は ホコリだらけで トランスにサビも出ていますが 販売されてからの 長い年月を考えるとこのくらいは当然だと思います

 

電源が入らないと言うことでしたが 一応チェックしてみました 当然と言えば当然なのですが 電源は入りません 試しに フューズを入れ替えて挑戦 やはりフューズが切れてしまいます 本体には4Aのフューズを使うように指示されていますが ここで手持ちにあった6Aのフューズを装着して電源を投入 スパークと共にコンデンサが爆発しました 電源の入らなかった理由は倍電圧整流用のダイオードにパラレルで付いていたコンデンサがリークしていたようですが さすがにびっくりしました(絶対にまねしないでください 人体、機器に大変な損傷を招く恐れがあります)ダイオードとコンデンサを交換して これで電源が入るようになりました しかし 何分か経過すると 真空管の1本が真っ赤になりフューズが切れると言うような状態です

 

ブロックケミコンを全て交換 JJと言うメーカーの物を使いました 付いていた物もたちまちであれば使えたのでしょうが いずれパンクして液漏れを起こすでしょうから やはりこれからの事を考えると交換は必要です

何分か経過すると 真空管の1本が真っ赤になりフューズが切れるのは カップリングコンデンサの劣化によるものですカップリングコンデンサのみ交換で音は鳴ると思いますが 今後使用する事を考え マイカ、セラミック以外全てのコンデンサを交換しました 金欠のため全ては無理ですが今回は奮発してASCや東一のビタQを何本か使用しました 私は特にコンデンサにこだわらないのですが 値段の高い物を使うと貧乏性のためか 作業が丁寧になると言うメリットがあります(笑)

50本以上のコンデンサ交換は かなり面倒です 真空管テレビ並にコンデンサが使用されており 使用されているコンデンサも時代を感じさせます プリメインアンプなので使われているコンデンサも多いです
固定バイアスなのでバイアスを調整します 以前入手した回路図にはー44Vと書いてあります 半固定抵抗を回し 各ー44Vに調整します 試してはいませんが バイアスを調節する事で 他の真空管も使用が可能なのでは ないでしょうか
電源を投入して 様子を見ます 特に何も問題ないようですフューズも切れませんし 真空管も真っ赤になりません このアンプはプリとパワーが分離可能なので まずがパワー部分をチェックします 今まで何台かの真空管アンプを自作してきましたが さすがに素人のアンプの音とは違いかなり良い音が出ています(少し褒めすぎ) エージングが進めば更に良くなりそうです 出力45W+45W、ダンピングファクター15の数字はダテではなく パワフルにスピーカーを鳴らします 内部、トランスを塗装しようかと考えましたが かなり面倒な作業になるので 今回はやめました サビが進行しないようにシリコンスプレーをを吹いて 簡単に磨きました

 

気を良くして 今度はプリアンプ部分をチェックしましたが 状態は最悪です 猛烈なガリが出ます また各所スイッチも接触不良です 古いアンプには良くある事ですが 酷くて普通に使用する事が出来ません 接点洗浄剤、接点復活剤を使用し 各部ボリュームを清掃 ノーマル、リバース切り替えのスイッチは分解して清掃 どうにか実用レベルにまで持って行く事が出来ました VR類は交換したいのですが このアンプに使用されている物はシャフトの先端がギザギザになっておりつまみをはめ込むタイプで またシャフトの長さもちょっと長いなど 通常お店ではなかなか手に入れるのが難しく 今後コツコツと探して交換したいと考えています。

音も出るようになり 嬉しくなって何曲か聞いていたところ 左側の音が小さいのに気がつきました 明らかに違います 真空管の不良?とも考え 12AX7を適当に挿し直してみましたが変化はありません パワーアンプのみでは問題ないので プリアンプ部分に原因があるはずです バランス、ボリュームは2連の物が使用されているのでこれが原因ではと思いましたが 連動誤作はあるものの経験上視聴に差が出る程の値ではありません 各所スイッチを押したり戻したりして原因を考えましたが わかりません 結局 再度回路図を見て各所をチェックしました すると12AX7のグリットに回路図には無い抵抗がボリュームを補助するかのように付いています 片側には付いていません またハンダ付けの状態から見ても オリジナルではなく後から追加されたみたいです この抵抗を外して 再度チェック 左、右のバランスがそろいました 今回このアンプは コンデンサが2本ほど交換されていましたから一度は修理されていたと思いますが あまり詳しい方が行ったのではないようです 今回のこの意味不明な抵抗も 何らかの原因で音のバランスが崩れ左右のバランスを取るために 適当に取りつけた物の様な気がします 真空管テレビを修理する際に昔の電気屋さんの 修理後を何度か見たことがありますが 丁寧な人、詳しく回路を作り替えている人、雑でいい加減な人など修理の状態でそれがとても良くわかります メーカー製の真空管アンプや真空管プリアンプなど中古で入手する際に気を付けなければならないのは 大幅に改造されている物が多くあります アンプなどでは 三極管接続に改造されていたり 固定バイアスを自己バイアスになど 但し 改造されている物の修理は結構大変なので 気を付けなければいけません その点今回のアンプは改造はなく 修理は容易でした

 

 

底板が酷く凹んでいたので 作り直すことにしました ホームセンターで60cmx40cm 2mm のアルミの板を購入しました ジグソーで切断し 通風穴を開けます オリジナルと同様に後ろ側の足にはキャスターを取りつけました 底板の色ですが オリジナルは黒なのですが 手持ちに黒のスプレーがなかったので 側板と同じシルバーに塗りました 2mmのアルミを使ったので オリジナルの底板よりしっかりとした物になりました。
側板も汚れていたので 塗装しました オリジナル重視の人からは怒られそうですが 私は特にオリジナルにはこだわりません 素人塗装ですからプロの様にはいきませんが 清潔感は出たと思います。
使いにくかったので スピーカの端子をネジから現代的な物に交換、ACプラグを取りつけ電源ケーブルを脱着出来るようにしました また外側に出ているネジの大半にサビが出ていましたので 見える部分のネジは全て交換しました

 

綺麗になりました これで家族からこの汚い物とうにかしてといわれなくなりそうです 再度組み立てて最終のチェックです とても良い音で鳴っています 私はONKYO SCEPTER10 と言う大型フロアタイプのスピーカーを使用しています 気に入っていたのですが 今ひとつ満足していませんでした しかし今回 SUNSUI AU-111をこのスピーカーに繋いだところ 今までのモヤモヤが吹っ飛びました 今までのアンプとは鳴り方が全く違います 考えてみると当たり前なのですが私の所有するアンプの大半が10W以下の小出力真空管アンプです いくらスピーカーの能率がある程度高いと言えども このスピーカーを鳴らすには 荷が重かったようです AU-111に対し これが本当に最良かと聞かれるとやはり自信はありませんが 今まで以上に音楽を聴くのが楽しく気持ち良く聞ける様になりました。

小出力真空管アンプ用に何か良いスピーカーを探さなければ......今回 アンプと相性や組み合わせなど色々と考えさされました。

AU-111とは関係ないですが ONKYO SCEPTER 10です 高剛性のエンクロージャに1インチホーンと38CMウーハを搭載とてもでかくて重たいスピーカーです あきらかにJBLを意識して作られていると思われます マルチコルゲーションコーン採用のウーハーにチタンドームツゥイータと気合いの入った作りで ブランドこそJBLに負けますが 内容や音に関して決して劣る事はないと思います どんなスピーカもそうですがこのセプター10は特に設置や部屋の状態で音がとても変わります 所有しておられる方で 音質に不満のある場合は一度、設置やお部屋のセッティングを考えてみてください

ONKYO SCEPTER 10 の当時のカタログ

再塗装のかいもあり ある程度は綺麗になりました ただフロントパネルにキズが多いのと 印字のシルクが消えていたりと やはり年数の経過は隠せません 入手時から考えれば十分に清潔感もあり良い状態になったと思います 現在のオーディオ機器とはデザイン的に古さも感じさせられますが 新しい機器がない私の部屋にはデザイン的にもマッチしています しかしこのアンプは 重量もあり大きく筐体が黒いという事もあるのでしょうが オーラと言うより妖気を感じさせるアンプです

入手時には 簡単に直して修理を楽しんだら 売ってしまおうかと考えていましたが 出てくる音にビックリ!!本当に良い音で鳴ります サンスイから復刻版が出るのも十分に理解できます もし真空管アンプに興味をもたれ購入をお考えの方がいれば コンデンサなどの部品交換が出来る方であれば1番にこのアンプをお勧めします 絶対に買いです!! オークションなどを利用すればまだまだ入手は可能です 本当に今回良いアンプに出会える事が出来たと思います。

但し 3極管シングルアンプなどとは音質は違います この辺りは好みで色々と違うとは思います

現在はONKYO SCEPTER 10に代わり JBLのスピーカーを使用していますウーハー LE14A ドライバーLE85で国産の古い箱の組み合わせですハイファイではありませんが AU-111との組み合わせで とても気持ち良く鳴ってくれます

 

このAU-111に関しては 多くの質問が届き 驚いています それだけに興味のある方、また大切にされている方が多いのでしょう このアンプは製造からかなりの年月が経過しており さすがにオリジナルでまともに動作する物は少なくなっていると思います 大丈夫だと思っていても実際には劣化した音を聞いている事も考えられます(実際 多い事だと思います) 使われている部品から考えても 何ら修理、整備されていない物は まともな動作はしていないと考えて間違えないと思います 私のところに送られてくる質問の大半が 電源投入後に 真空管の一部が赤くなりしばらくするとフューズが飛ぶと言った内容です オークションなどに出品されている物も同様の症状の物が多い様です アンプ部分のカップリングコンデンサの不良が原因だと思いますが 製造からかなりの年月が経過した現在 今後このアンプを使用する場合は大半のコンデンサを交換する必要があります 不良部品の交換を行う事で本来の音も蘇ると思います 真空管やパーツもまだまだ入手が可能ですし プリント基板を使っていないAU-111は部品の交換も容易ですからチャレンジしてみてください ただし 残念な事ですがVR類に関しては入手が難しい物もあります