Q1. 「リトミック」って、何ですか?
A. リトミックは、スイスの音楽教育家・作曲家であったエミール・ジャック=ダルクローズ(1865〜1950)によって提唱された音楽教育の考え方です。音楽と動きを融合した教育スタイルに特徴があります。
ダルクローズは、19世紀後半〜20世紀初頭にかけて、音楽学生の基礎トレーニング(ソルフェージュ、イアー・トレーニング)の授業をおこなう過程で、“学生の音楽的センスを高めるためにどうしたらよいのか”という課題に直面し、いろいろと試行錯誤しました。
日本では既に明治時代に紹介されています。山田耕筰も、ドイツ留学時にダルクローズのアトリエを訪れて、大きな刺激を受けたようです。その後、日本において、リトミックは音楽教育だけでなく、舞踏(ダンス)、演劇、幼児教育、障害児教育などでも、応用・指導されています。
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Q2.リトミックのレッスンは何をめざしているの?
A.ダルクローズは、「心と身体の一致・調和を促す」「音楽的なセンスを培う」と述べています。これを、より具体的に考えてみたとき、リトミックは一人ひとり様々な目的で経験されると思います。ある人は、音楽的センスを高めるために、ある人は音楽しているときの喜びを味わうために、またある人は音楽を通してコミュニケーションを楽しむためになどです。
要するに、リトミックは音楽を通じて、一人一人の自己実現の空間となるのです。
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Q3.リトミックとダンスはどこが違うの?
A.リトミックもダンスも、身体の動きを用いて表現活動をします。しかし、ダンスでは身体的なトレーニングが重要です。動きの善し悪しは、そのまま表現の結果に反映されるのです。その一方で、リトミックは、動きを通して、音楽を学ぶ方法と言えます。あくまでも、学習の結果よりもその学習過程で経験する想像性や創造性のセンス獲得にウエイトが置かれているのです。
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Q4.リトミックではどうしてピアノレッスンをしないのですか? 3・4才からピアノを始めた子どもたちに遅れをとりませんか?
A.
文字を習う前に、おしゃべりをしたり、読んだりするように、音楽学習の初期では、(ピアノや楽器に触れる前に)音楽を聴き、
音楽を感じ、その音楽の意味を理解することが大切です。
ピアノのテクニックは、音楽をどう表現したいのかという思いがあってこそ役にたつのです。
そこで、音楽の学習(リトミック)では、まず誰もが持っている動きを通して音楽を経験し、その特質を味わうのです。
やがて、リトミックの中でピアノに触れる機会が生じます。 そこでは、リトミックで経験した音楽的なセンスを基礎に、ピアノの鍵盤を使って「音楽する」のです。
3〜4歳からピアノを始めた子ども達よりも進度が大きく遅れるのでは、という心配は無用です。
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Q5. 男の子なのでリトミックよりスポーツの方が良いのではと少し思っているのですが?
A. いろいろなスポーツに親しむことはとてもよい経験ですね。スポーツでは反射性や反応力、判断力や創造力など、多くのスキルが必要です。
それらの能力がある程度そなわっていなければ楽しめないかもしれません。
リトミックでは、スポーツや生活に必要ないろいろな感覚的センスを総合的に経験しているのです。リトミックは、年齢はあまり関係ないのです。幼い人はそれなりに、キャリアのある方もそれなりに、いま自分が持てるスキルを用いて、音楽に参加し、心と身体の調和した体験をすることに意味があるのです。
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Q6.
レッスンに保護者は付き添わなくてはいけませんか?
A. 子ども達はおかあさん(保護者)に温かい目で見守られているということで、とても心が安定します。
心が安定しているときに、インスピレーションや想像力が湧き出てくるのです。とくに幼い子どもの場合、親と子が共に育ち、
共に学び(共に遊ぶ)ことが学習の基礎となるのです。時には一緒に楽しみ、また時には子ども達を背後からそっと見守ってあげるのがポイントです。
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Q7.レッスンの時に一緒について来ている下の子がお兄ちゃんと同じようにしたがりますがいいのでしょうか?
A.
意欲的に参加するのはよいことです。学びたいときが、学習の最適期と言えます。
下のお子様が主体的に参加しているのなら、その姿を温かく見守りましょう。
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Q8.
3歳の我が子が、私の側からなかなか離れられなくて困ります。もっとお友達と活動できるようになって欲しいのですが。
A.
お気持ちはよくわかります。
子どもの心に寄り添って考えてみましょう。おそらく、お子様はお母さんの側が最も安心できるのでしょう。子どもがお母さんの側から離れるのは、とても大きな勇気と自信が必要なのです。
しかし、お母さんの側から離れられないでいるといっても、 同年代の子どもの姿は気になっているのだと思います(じっと友だちの姿を見つめているかも知れませんね)。
時に「(友だちと)一緒にやってみようよ」と行動を促してみるのもいいかもしれません。もし少しでも参加したらしっかりと誉めてあげましょう。
要は、親の側から離れられるようになるまで辛抱強く見守るのがポイントです。
そこでは、親の願い(友だちと一緒に活動できるようになってほしい)を無理強いするのだけは慎みましょう。
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Q9.
お友達にもリトミックの良さを教えてあげたいのですが、具体的にどう説明したらよいのでしょうか?
A. リトミックの良さは、これを経験した人が最も音楽の良さを味わうことができます。まずは一度経験してみることが、
ポイントとなるでしょうね。リトミックについて話をするよりも、実際の様子を見てみることを、見るよりも(リトミックを)実際に経験してみることをお勧めします。
音楽は、見たり聴いたりしただけの人よりも、実際に音楽に参加した人が最もその楽しさを味わうことができるのですから−。
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