無断転載厳禁 LastUpdate 2002/12
Eurhythmics Note
リトミック・ノート
by Masayuki Kambara

はじめに

 ここでは、これまで私がいろいろなところで行ってきたリトミック実践のメモ(ここでは主としてコミュニケーション・ゲーム)を掲げます。
 内容や掲載順序、脈略など、あまり期待しないで下さい。いずれそれぞれのゲームの目的などを記したいと思いますが、現時点ではメモの域にとどまっています。

 ゲーム対象者は、小学生以上〜大人を想定しています。

 ここに挙げた活動は、音楽を伴わない「身体の動き」を楽しむものや、音楽に付随して行われるものが混在しています。音楽は、既存の楽曲を用いても可能ですが、できるだけ動きにマッチした即興演奏で奏でられることが望ましいと思います。


Eurhythmics Note
contents

音楽に合わせて歩こうキャッチ・ボール線(空間)を描く

アイコンタクト動きの伸縮と呼吸動きと休止

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音楽に合わせて歩こう

ゲーム1

 部屋の中を自由に歩いてみよう。できるだけ人の歩いていないところを選びながら、いろいろな所に歩いて行ってみる。心の中で、ある地点(A地点)から別の地点(B地点)を想定して、何歩で歩けるか秘かに試してみよう。

ゲーム2

 次に、二人で手をつないで歩く。隣の人の歩調にできるだけ合わせて歩く。音楽のスピードと歩幅、そして音楽の強さと歩幅の関係についてよく観察してみよう。

 速くて、狭い歩幅だったのか、広い歩幅だったのか?
 遅くて、狭い歩幅だったのか、広い歩幅だったのか?

 他の人が歩行している様子をじっくり観察し、その特徴を互いに話し合ってみよう。それぞれの歩行は、どういった状況のときにみられるか話し合ってみよう。例えば、通勤の時の急いでいるような状況で見られるのか、それともゆっくり散歩を楽しんでいるときに見られるような歩き方だったのか?

 いま仲間が歩いた様子を観察してみて、歩く人の気持ちはどのように映ったのか、感じたことを話し合ってみよう。

 例えば、早足で歩いている様子は朝の通学、通勤でよく見ることができる。その時の心の内は、遅刻してはいけない、という焦りの気持ちが実によく表れている。多くの人が体験しているに違いない。

 別の例で。とてもゆっくり歩いている様子などは、日曜日の午後近くの公園に家族が子ども連れで遊んで帰るときなどにみられるのではないだろうか。とても和やかで、ほほえましくリラックスした気分が感じ取られるだろう。

 大股でゆっくり歩く時はどんな時か、あるいは小幅でチョコチョコと早く歩くのはどんなときなのか、皆で話し合ってみよう。出来るだけ具体的に、場所、時刻、一人なのか集団なのか、何か手に持っているのか、それは重い物なのか軽いものなのか、服装は、履いている靴は、等などイメージされる事柄を考えてみる。

 このようにいろいろな状況をイメージしながら、もう一度皆で歩いてみる。歩行のテンポには、人の心の内側が実によく投影されているものだ、ということが実感できるだろう。

 クラスで話合いの中で、面白いものがあれば取り上げて、みんなで追体験してみよう。

ゲーム3

 音楽に合わせて、一緒に歩いてみる。いま歩いているテンポや強さは、先ほどいろいろ歩いた中のどの状況が最もマッチするか考えながら歩くこと。

ゲーム4

 練習3と同じ様に歩いている。突然音楽が止まる。歩いている途中でも、そのままの姿勢で止まること。音楽が強いまま突然止まった場合、あるいはだんだん弱く消えるように止まった場合の状況について考えてみる。

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キャッチ・ボール

ゲーム1

 7〜8人で円陣になる。誰か一人が実際にボールを持って、別の人にボールを投げる。ボールを投げられた人は、ボールを落とさないように受け止める。その一連の動きの中では、言葉を発しないこと。

ゲーム2

 同じように、今度は実際にボールを持たないで、架空のボールの受け渡しをしてみよう。

 このゲームでは、投げる人と受け止める人の間で、動きや目によるコミュニケーションが重要となる。ボールをうまく受け止めるためには、ボールが投げられる瞬間やそのスピード、そしてボールが空間に舞っている時間やその軌跡から視線を反らすことはできない。それはそのまま音楽のエネルギーや空間をどのように使用したらよいのか、というセンスと同じ内容を含んでいる。

 初めのうちは、リズミカルな動きとは言えないかも知れない。むしろ、いろいろな動作(投げる-キャッチする)の体験を経た後で、異なったスピードで(例えば、「もっと遅く」とか「もっと速く」、あるいは「とても軽いボールのつもりで」とか「重い鉄のボールのつもりで」など)ボールを投げたり受け止めたりする。その人の描くイメージが、言葉によらない動きのニュアンスを通して感じ取られるようになるだろう。

ゲーム3

 同じように、音楽に合わせて仮想のボールを使って、投げる−受け止める、をしてみる。

 音楽のテンポが、ボールが空間に浮いている間に描く時間とマッチしているだろうか。 また、ボールを投げ上げるときの人の動きは、音楽のダイナミックス(Dynamics)を反映しているだろうか。よく観察してみよう。音楽と動きが同期していれば、やがて音楽を伴っていなくても、心の中にボールの描く軌跡から音楽を想像することが出来るようになるのが感じ取れるようになるだろう。

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線(空間)を描く

ゲーム1

 少し足を開いて立つ。その状態で、身の回りの最も遠いところ(A点)から別の最も遠いところ(B点)にゆっくりと線を書く。

 まっすぐに手を延ばしただけでは最も遠い点とは言えない。さらに、もう5センチ延ばす気持ちでA点を決めること。B点も同じ気持ちで。また特に、初めのうちは、線を書くスピードを一定に保つように注意すること。

ゲーム2

 ゲーム1の要領で、音楽に合わせて行う。規則性のあるゆっくりしたリズムの音楽を聴きながら、音が響いている間、手の動き(線を描く)を止めないように、A点とB点を結んだ線上を同じスピードで描き続けること。音楽が止まったらそのままの姿勢でいること。

 再び、音楽が聴こえたら別のB点を即座に設定し、描き始める。自分の身の回りには実に広い空間がある。前、後、右、左、上、下、斜め前、斜め後、右斜め下、等など。その広い空間いっぱいに直線を描き続ける。

ゲーム3

 音楽のダイナミックス(強弱)に応じて、空間に描く線の長さを変えてみよう。弱い音楽の時は、細く短い線を、逞しく華やかな音楽の時は、できるだけ広い空間に長い太い線を書いてみよう。

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アイコンタクト

ゲーム1

 数人で円陣をつくる。互いに目が合ったら手を上げる。ここでは静粛に。

ゲーム2

 自由に歩いていて、誰かと目があったら一緒に歩いていく。決められた歩数(例えば8歩)だけ歩いたら手を放して、また一人で自由に歩く。次の相手を捜しながら歩く。

ゲーム3

 2人組になって。一人が相手の身体のどこか一部分にくっついている見えない糸を引っ張ってみる。引っ張られている人は、その糸の引っ張られている方向に身体を動かす。その時、身体の重心の移動を感じるだろうか。安定感のあるポーズ、不安定なポーズのときの、心と身体の動き(弛緩や緊張)が感じられるだろうか。

ゲーム4

 2人組で手の平を合わして。前、後、左、右、斜めなど、音楽に合わせて自由に動いてみよう。最初は、ゆっくりと動かす。

 (注)アイコンタクトのゲームは、関計夫著「続・感受性訓練」(誠信書房)からヒントを得たものである。このゲームは無言で行うこと。「目は口ほどにものを言う」と諺にも言われるように、相手の眼差しは、心の糸である。心の糸の結ばれた瞬間に、手を挙げることによって応答する。眼差しを投げかけた人は、それが受け止められるまでの時間ひたすら待つ。不安な時間である。しかし、その不安は眼差しが受け止められたことによって、倍増した嬉しさとなる。

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動きの伸縮と呼吸

ゲーム1

 肩幅に足を開いて立つ。身体の重心を前後左右に動かし、体重が足(土踏まず)の中央にくるように試みる。ゆっくり膝を曲げたり、伸ばしたりする。ゆっくり自分の速さで。バランスを崩さないように。

ゲーム2

 呼吸を伴い、膝を伸ばすときには息を吸い、膝を曲げるときには息を吐く。腕の上下運動を、膝および呼吸の動きと共に行う(息を吸うときに手のひらをだんだん上に、息を吐くときは手のひらを下にゆっくりと移動する)。絶え間なくゆっくりの速さで。

 上の要領で、ゆっくりと膝を伸ばし、伸びきったところで片方の足を前に1歩出す。腕の動きや呼吸も併せて行ってみよう。

ゲーム3

 自分のリズムで「普通の速さ」で歩く。合図(「ゆっくり」とか「slow」など)が聴こえたらゆっくりの速さでステップする。「元に」の合図で「普通の速さ」でステップする。「速く」あるいは「fast」の合図で、速いステップを行う。

 合図と共に、意識的にいろいろな速さでステップしてみよう。こうして、いろいろな速さのあることを知る。

ゲーム4

 自由に歩いていて、(途中から奏でられる)先生の音楽の速さと同じ速さだと思った者は歩き続け、そうでない者は座る。歩き続けている人の動きをよくみて、真似て歩いてみる。

 再び、音楽なしで自由に歩く。教師の音楽の速さやその変化を同一視すること。

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動きと休止

ゲーム1

 両足を肩幅くらいに広げて立つ。足の位置は固定し(膝は柔らかく動いても良い)手の最も遠くに届く点をA点とし、もう一方の反対側の遠い点をB点とする。A点とB点を直線で結ぶように、空間を片方の手指で描く。自由な速さで。
(これは前述の「線を描く」の要領でおこなう)。

ゲーム2

 音楽を聴きながら、8拍の長さでレガートに1本の線を描く。8拍ごとに線を描く方向を替えて。

 いろいろな拍(5拍〜2拍)で行う。

ゲーム3

 2人組になる。片方の人が8拍で1本の線を描く。もう一人が、前の人のB点から線を受け継ぎ、異なった方向に8拍で線を描く。(交互に線を描く)

ゲーム4

 2人組で向かい合う。手の平を合わせて言われた拍の時間で身体全体を動かす。

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